シミュレーションの世界 リアルスケール社会シミュレーションの実現に向けて
村田 忠彦, 原田 拓弥, 杉浦 翔
シミュレーション学会誌, Vol.36, No.4, pp.58-62, 2017-12
Abstract
リアルスケール社会シミュレーション(Real-Scale Social Simulation: RSSS)は、個人の意思決定・行動を起点に、集団・組織・社会レベルへと拡張して現実社会に近い現象を再現し、政策・制度設計の検討に資することを目指す。しかし、行政個票や詳細なミクロデータはプライバシー等の制約で利用が難しく、公開統計に基づく「合成人口(Synthetic Population)」の構築が基盤技術となる。本稿は、統計表から個票を合成するSynthetic Reconstruction(SR)を概観し、従来のIPFP等のサンプル依存手法に加えて、サンプルを用いない方法としてMCMCに基づく手法、Fitness-based synthesis、Simulated Annealing(SA)法などを整理する。さらに、SAを用いた合成世帯生成の拡張(全国規模へのスケール、初期解生成、探索手順の工夫)を紹介し、性別・年齢・家族類型といった基礎属性に加え、位置情報や就業・産業、所得などの追加属性を、統計表との整合性を保ちながら付与する手順(割当て→統計誤差の調整)を提示する。合成人口を「仮想実社会データ」として整備することで、交通・防災・感染症などの多様な社会シミュレーションを、より現実的な粒度と解釈可能性で実施するための方法論的基盤を示した。
BibTeX
@article{村田2017,
title = {シミュレーションの世界 リアルスケール社会シミュレーションの実現に向けて},
author = {村田 忠彦 and 原田 拓弥 and 杉浦 翔},
journal = {シミュレーション学会誌},
volume = {36},
number = {4},
pages = {58-62},
year = {2017},
month = {12},
}