就業形態を考慮した合成人口の労働者への所得の割当て

Date:

論文情報

概要

本論文では,合成人口の構成員に所得を割り当てる手法を提案する.合成人口とは統計を基に家族構成とその構成員の属性を合成した個票データである.合成人口に所得を割り当てる手法として,杉浦らは先行研究でSimulated Annealing(SA)法を用いて,就業状態別,産業分類別の所得を割り当てる手法を提案している.先行手法では,合成人口にこれらの属性を割り当てるため,国勢調査の 3 種類の統計を用いて労働者人口の調整処理を行ったうえで,実統計(賃金構造基本統計調査と毎月勤労統計調査)に近似した個票データを合成している.本論文では,先行研究の手法に対して就業形態,企業規模の属性を加えることで,先行手法の改善を図る.Simulated Annealing(SA)法を用いて就業状態,就業形態,産業分類,企業規模の属性を割り当て,各個票の性別・年齢・産業分類に応じて所得を割り当てる.提案手法の結果と実統計の平均所得とを比較したところ,先行研究よりも実統計の平均所得に近似した人口データを合成できた.