家族類型と世帯内の役割を考慮した SA法による日本全体の世帯の合成

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概要

本研究では,実際の都市と同じ規模のマイクロシミュレーションやエージェントシミュレーションを行うために,Simulated Annealing(SA)法を用いて,日本全体を都道府県毎に同じ規模の世帯構成の合成を行う.より具体的な社会シミュレーションを行うためには,現実のデータを用いることが望まれるが,現実のデータは個人情報であるため安易に用いることはできない.本研究では,統計データを用いて対象地域と同じ規模の世帯構成の合成を行う際に,従来手法において検討されていない3点の問題を検討する.第一は合成する最大世帯人員数,第二は夫や妻の血族関係,最後に「夫婦,子供とひとり親」の世帯における子供とひとり親の性別決定法である.これらの手法を用いた数値実験を行い,最も誤差を削減可能な手法と最も多い地域において誤差を削減可能な手法が異なることを示す.前者は,従来手法から統計との誤差を 25.1%削減でき,後者の手法は47都道府県中46都道府県において統計との誤差を削減可能であった.